ABOUT
プロジェクトの背景
現在の活動
未来の構想
背景
すだち、加茂谷、成長機会をつなぐ
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3つの要素
本プロジェクトの背景には、徳島県の加茂谷という地域のすだち農家に生まれ、東京のキャリアコンサルタント会社に勤める代表、井出雅文に深く関わる3つの要素があります。「すだち」と、「加茂谷」という過疎集落、そして長年のキャリアコンサルタント業の中で遭遇した現代人の「成長機会とのミスマッチ」という、深刻な課題を持つ3つの異なる要素です。ひとつひとつ簡単にご紹介します。
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すだち
かけがえのない香りすだちは、爽やかな香りと、特有の優しい酸味・風味、そして緑に輝く外見が特徴の香酸柑橘で、徳島県を代表する特産品です。かつては多くの農家がいましたが、高齢化が原因で年々出荷量を減らしており、新たな農業の担い手と、新たな消費方法が早急に求められています。
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加茂谷
那賀川沿いの集落加茂谷は、徳島県中部を流れる一級河川那賀川の中流に沿って存在する美しい集落です。四国八十八ヶ所の20番鶴林寺から21番太龍寺を繋ぐ遍路道があり、辰砂採掘遺跡があります。古くから人々が行き来する一方、何度も大雨で川が氾濫し、洪水の被害に遭うこともありました。現在は過疎化が進み、空き家・遊休農地が増え限界集落になりつつあります。
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失われる
現代人の成長機会東京でキャリアコンサルタントとして働き、キャリアアップを目指すたくさんの人々の声を聞いてきました。インターネットの普及につれて、自分に合った趣味や価値観を具体的にイメージできるようになっている反面、職場や成長機会とのミスマッチが顕著になっている。人間の尊厳が制限されているようにさえ感じる程でした。
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加茂谷すだちパーク
これら3つの要素を繋ぎ、改善に導くための場所として相応しいと考えたのが代表が生まれ育った徳島県加茂谷のすだち畑でした。
ここでたまたま偶然にも仲良くなり、意気投合して同じ悩みを分かち合える人と出会えるかもしれない。もしかしたら、全く想定外のライフスタイルに出会い、ワクワクしている自分に出会えるかもしれない。知らない国で生活していけると思えるような錯覚に出会えるかも知れない。もしかしたら、自分に合った成長機会に、出会えるかもしれない。それは昔に既に気付いていたことだったかもしれない。
その様な場を、リアルに営農しながら、見知らぬ旅人と作り上げていく。山々と那賀川と四国遍路と辰砂が特徴の徳島県加茂谷で、すだちだけでなく、すだちの木がある風景も徳島県特有の価値にしたい。
そんな想いを詰めたプロジェクト。
それが「加茂谷すだちパーク」です。
現在
人が集まるすだち畑をつくる
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まずはすだちで儲かるビジネスモデル
加茂谷すだちパークの最初の目標は、プロジェクトの基盤でもあるすだち農業を新たなビジネスモデルとして成り立たせることです。個人のすだち農家として生計を立てるのではなく、毎年たくさんの人々が訪れ、農業体験をし、その中からすだち農家として就農したいという人を見出し、地域の農業全体を発展させていく。加茂谷の限られた農地でそれを実現するには、大胆なアイデアと、たくさんの人々の協力が必要です。
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密植による短期間でのすだち畑拡大
限られた農地と人手ですだちの収量を増やすために目を付けたのは、すだち農家であれば口を揃えて「ダメ!」と首を横に振る、「密植」という苗木の間隔を詰めて植えていく農法です。すだちなどの柑橘は一定以上の間隔がないと十分育つことができませんが、密植には少ない面積で多くの苗木を育てるというメリットがあります。そこで、密植で程度の大きさまで苗木を育て、周辺の畑に移植するというプランを立て、短期間ですだち畑を拡大するという挑戦をしています。
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世界中からボランティアを募る
私たちが目指すのは、単なるすだち畑ではなく、「人が集まるすだち畑」です。
現在、四国遍路や集落再生に興味があるボランティアを世界各国から受け入れており、過疎化する農村で栽培されたすだちを世界の日本食ファンに届けています。2023年には100名以上が世界中から集まり、年間を通じたすだち園の農作業体験や、日本文化体験、日本料理体験、自然アクティビティを楽しみました。彼らと文化を通じた交流することは、すだちの新たな付加価値の創出につながっていくと確信しています。 -
すだち農家の就農をサポート
国内外のボランティアや体験に訪れた人々がすだち農業に興味を持ち、就農されたいと感じた時に障壁となる農地探し、苗木が成熟になるまでの無収入の期間や保存用の大型冷蔵庫などを先行して購入し、貸し出せる準備を整えています。先輩となる私たちが入り口を作るので、すだち農業に対する情熱と志があれば是非声を掛けてください。
未来
アルベルゴ・ディフーゾを取り入れた観光産業
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イタリアで生まれた
地域観光サービス本プロジェクトの当面のゴールは、人が集まるすだち畑を作り上げながら、加茂谷という地域を活気あふれる場所に再生することです。そのヒントが、日本と同じく少子高齢化や過疎化の問題を抱えるイタリアが、地域観光の発展のため生み出した「アルベルゴ・ディフーゾ」という考え方でした。
アルベルゴ(ホテル)・ディフーゾ(分散された)とは、大型の宿泊施設を作るのではなく、地域の空き家などを宿泊施設や飲食店とし、地域で一帯となった観光サービスを提供するという仕組。個人ではなく、地域で人々をおもてなししようというイメージです。 -
空き家の利活用
加茂谷でアルベルゴ・ディフーゾの仕組みをつくる第一歩は、空き家の利活用に他なりません。私たちは、加茂谷で増え続ける空き家や空き店舗などを購入、または借り受け、宿泊施設や飲食店として使えるよう改修を行っています。自ら事業を立ち上げるだけでなく、加茂谷が気に入ってくれた人が自分たちでお店を開くための拠点としていただけるよう、日々地域の人々とのコミュケーションを取りながら、計画を立てています。
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加茂谷で出会う人々と作る未来
加茂谷のすだち畑に集まる人々が出会い、交流し、さまざまなアイデアを共有することで自身の成長機会をつくり、すだちに付加価値を与え、加茂谷という地域を活発にする。
地域農業だけでなく、農村維持だけでなく、観光だけでもなく、国際交流だけでもない、伝統的な栽培技術を習得して一人前のすだち農家を輩出していく取組みに加えて、日本の農村が直面している社会問題や環境問題、荒廃する農村風景の再発見のために、私達は活動しています。